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美容家・根本 澪(ねもと みお)
美容業界歴26年。エステ・スパセラピスト、スキンケアメーカーのインストラクターを経て、現在はオンライン講座や商品開発、コンサルティング、セミナー講師として活動中。
アトピーや敏感肌の自身の経験と、延べ6,000人以上のカウンセリングから、肌・体・心を整える美容メソッドを構築。
「自分らしく歳を重ねる美しさ」をテーマに、一人ひとりに寄り添うサポートを行っている。
日差しが強くなる季節、日焼け止めは肌を守る必需品。
でも「紫外線吸収剤」「紫外線散乱剤」など、成分の違いで何を選んだらいいか悩む人も多いですよね。
最近は敏感肌向けの工夫や、使いやすい新しいタイプも増えてきました。
今回は両者の違いと、紫外線の正しい知識・最新の選び方を、わかりやすく解説します!

紫外線A波(UVA)・B波(UVB)とは?日焼けと肌老化の違い
紫外線には大きく「A波(UVA)」と「B波(UVB)」の2種類があり、それぞれ肌への影響が異なります。
UVA(A波)
波長が長く、雲やガラスも通り抜けて肌の奥深く(真皮層)にまで到達します。
シワやたるみといった「光老化(肌の老化現象)」の主な原因になることが分かっています。
UVB(B波)
波長が短く、肌の表面に強く作用します。
短時間で「赤み(日焼け=サンバーン)」や炎症・シミ・そばかすなどのダメージを引き起こしやすいのが特徴です。
UVAもUVBも両方防ぐことが、日焼けだけでなく「将来のしみ・しわ・たるみ=光老化」を予防するうえで重要です。
SPFとPAって?数値の意味と正しい使い方
日焼け止め選びでよく見る「SPF」と「PA」。
どちらも紫外線防御力の目安ですが、守ってくれる紫外線の種類と意味が違います。
SPF(Sun Protection Factor)
「UVB(B波)」を防ぐ効果を表します。
数字が大きいほど長時間守ってくれますが、1SPF=約20分が目安。
たとえば「SPF30」なら、理論上は約600分(30×20分)UVBから肌を守ることができます。
PA(Protection Grade of UVA)
「UVA(A波)」への防御効果を+(プラス)の数で示します。
「PA+」「PA++」「PA+++」「PA++++」の4段階表示で、+が多いほどUVAに強いことを意味します。
SPF/PAは「高ければ万能」ではありません。
汗・摩擦・塗りムラなどで効果は落ちるため、2〜3時間おきの塗り直しが重要です。
また、シーンや肌タイプに合わせて選ぶことも大切です。


紫外線吸収剤(ケミカル)とは?
紫外線吸収剤は、紫外線を「吸収」して、無害な熱などのエネルギーに変換して放出する成分。
例えるなら、紫外線を“スポンジ”のようにキャッチして肌を守るイメージです。
【技術の進化】
最近では、紫外線吸収剤が直接肌に触れにくいようカプセル化などの技術で成分を包み込んだ商品も登場。
敏感肌の方も、パッチテストをしながら選ぶことで、自分に合ったものを見つけやすくなっています。
紫外線吸収剤のメリット
- 白浮きしにくく、自然な仕上がり
- サラッと快適な使用感
- 少量でも高い紫外線ブロック力(SPF/PA値が高い製品が多い)
- 汗や水に強く、崩れにくい
- 特にA波の防御力が高く、日常的に紫外線を浴びる機会が多い方にもおすすめ
紫外線吸収剤のデメリット
- 敏感肌の方は刺激や肌荒れのリスクがあるため要注意
- 成分によっては体内への吸収や長期影響が議論されている
- 一部成分は環境負荷の懸念(サンゴ礁などへの影響)があり、規制されている地域も
紫外線散乱剤(ノンケミカル)とは?
紫外線散乱剤は、酸化チタンや酸化亜鉛などの白い粉末で、肌表面で紫外線を「反射・散乱」させる仕組み。
まるで“鏡”のように紫外線を跳ね返します。
【進化ポイント】
アレルギーや毛穴詰まりが気になる方向けに「酸化亜鉛フリー」の商品も増えています。
ただし、酸化亜鉛フリーだと防御力や崩れにくさがやや劣ることもあるため、SPFやPA値だけで安心せず、塗り直しが重要です。
紫外線散乱剤のメリット
- 肌への負担が少なく、敏感肌・子どもにも使いやすい
- 塗った直後から効果を発揮
- 環境負荷が少ない
紫外線散乱剤のデメリット
- 白浮きしやすい(技術進化で改善傾向)
- きしみ感、伸びの悪さを感じやすい
- 汗や摩擦で落ちやすく、こまめな塗り直しが必要


「持ち歩き」や「塗り直し」に便利なタイプも
メイクをしていると日中の塗り直しがしにくい方も多いはず。
最近はパウダータイプやスプレータイプの日焼け止めも市販されており、手軽に使えておすすめです。
ただし、これらは乳液・クリームタイプに比べ密着力やカバー力がやや弱め。
一時的な補助的アイテムとして使うのが賢い選び方です。
肌タイプやライフスタイルに合わせた組み合わせ例
紫外線対策は「組み合わせ」がポイント。
たとえば敏感肌の方は「紫外線吸収剤フリー」の日焼け止め+下地+ファンデーション+パウダーで重ねて防御力UP。
お化粧直しには紫外線カット機能付きのパウダーを使うことで、紫外線吸収剤不使用でもしっかり対策できます。
よくある質問Q&A
Q1.敏感肌でもSPF50の日焼け止めは必要?
A1.普段の生活や短時間の外出なら、SPF20〜30程度でも十分とされています。
SPFが高いほど肌への負担も増えるため、シーンや肌質に合わせて使い分けましょう。Q2.酸化亜鉛フリーの日焼け止め、どんな人におすすめ?
A2.毛穴詰まりや特定成分のアレルギーが気になる方、また軽い仕上がりを好む方に向いています。
汗や皮脂が多いシーンでは落ちやすいこともあるため、こまめな塗り直しで補いましょう。
Q3.パウダーやスプレーの日焼け止めは、どんな使い方がベスト?
A3.メイク直しのついでや外出先での“応急処置”に最適です。
本格的な紫外線対策には、朝のスキンケア後に日焼け止め(乳液・クリームタイプ)をしっかり塗りましょう。
パウダーやスプレーは日中の補助として使うのがおすすめです。
まとめ
日焼け止め選びは「成分」「使用感」「SPF・PA値」だけでなく、自分の肌質・シーンに合わせて上手に組み合わせることが大切です。
気になる製品はパッチテストをしながら、自分に合うものを見つけてください。
