- 酸素は、筋肉の細胞の中でエネルギーを作るために使われている
- 酸素を使う力は、年齢よりも、体を動かす量で大きく変わる
- 使う力は、習慣によって上下することもある
同じ年代でも、疲れ方はずいぶん違います。
一日動き回っても平気そうな人がいる一方で、すぐ疲れて体が重くなる人もいる。
同じ40代、同じような生活をしていても、疲れ方には違いがあります。
この差は、どこから来ているのでしょうか。
体を動かすとき、筋肉は酸素を使ってエネルギーを作っています。
ただ、酸素は吸う量が増えれば、たくさんのエネルギーを作り出せる、というものではありません。
健康な人の体では、酸素そのものが足りなくなることはほとんどなく、人によって変わるとすれば、酸素の届き方と使われ方です。
今回は、そのうちの「使われ方」を掘り下げて、疲れやすさの違いを見ていきます。
酸素は、筋肉の細胞の中で使われている

筋肉の細胞の中には、届いた酸素を使ってエネルギーを作っている場所があります。
エネルギーを作り出す場所は、ミトコンドリアと呼ばれています。
名前を聞いたことがある方もいるかもしれません。
血液に乗って運ばれてきた酸素は、ここで使われます。
体を動かすためのエネルギーは、この働きによって作られています。
使う力は、年齢よりも、体を動かす量で大きく変わる
酸素を使う力は、年齢よりも、体をどれくらい動かしているかの影響を大きく受ける、という報告があります。
年齢の近い人どうしを比べた研究があります。
同じ年代でも、日ごろよく体を動かしている人と、座って過ごすことが多い人では、筋肉が酸素を使ってエネルギーを作る力に差が見られました。
さらに、よく体を動かしている年配の人たちの数値は、若くて活動的な人たちと近いということもわかっています
この研究は、暦の上での年齢よりも、体を動かしているかどうかの方が影響が大きい、と結論づけています。※1
使う力は、習慣によって上下することもある

酸素を使う力は、動かさない状態が続けば下がり、体を動かす量が増えれば上がることが報告されています。
体を動かさない状態が続くと、筋肉が酸素を使う力は下がります。
これは、若い人でも年配の人でも同じように見られました。※2
一方で、体を動かす習慣が加わると、この力は上がります。
若い世代でも、年齢が上の世代でも、同じような変化が見られています。※3
ただし、酸素を届ける側の変化や、心臓の働きなど、ほかにも関わっていることがあるため、日々の「動ける量」の差が、これだけで説明できるわけではありません。
それでも、使う力の量が、疲れやすさの違いのひとつとして考えられます。
同じ年代でも、疲れやすさや動ける量には幅があります。
その幅を作っているものの一つが、体の中で酸素がどう使われているかでした。
年齢という数字だけで決まるのではなく、今の状態で固定でもない。
習慣によってかわることがわかりました。
次回は、手足の冷たさと酸素の話です。
体と酸素のことについて他のコラムを読む
・疲れが取れないのは年齢のせい? 回復と酸素の関係
(https://merce-online.jp/blog/persistent_fatigue_body_and_oxygen/)
・きつかった運動が楽になるのはなぜ? 毛細血管と酸素の関係
(https://merce-online.jp/blog/making_exercise_easier_body_and_oxygen/)
参照元
※1 Distefano G, et al. Physical activity unveils the relationship between mitochondrial energetics, muscle quality, and physical function in older adults. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2018;9(2):279-294.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcsm.12272
※2 Gram M, et al. Two weeks of one-leg immobilization decreases skeletal muscle respiratory capacity equally in young and elderly men. Exp Gerontol. 2014;58:269-278.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0531556514002496
※3 Robinson MM, et al. Enhanced protein translation underlies improved metabolic and physical adaptations to different exercise training modes in young and old humans. Cell Metab. 2017;25(3):581-592.
https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(17)30099-2