- 運動中、体は血液の行き先を切り替えて、筋肉に酸素を届けている
- 体を動かす習慣がつくと、筋肉の中の毛細血管が増える
- 前はきつかった運動が楽になるとき、酸素を届ける側にも変化が起きている
始めた頃は、少し走っただけで息が上がっていた。 ジムのメニューも、最初はこなすだけで精一杯だった。
それが、続けるうちに、いつの間にか楽になっていた。 そんな経験はありませんか。
「慣れたから」「体力がついたから」。その通りです。
では、この「体力がつく」とき、体の中では何が変わっているのでしょうか。
その答えの一つが、酸素です。
体を動かすとき、筋肉は酸素を使ってエネルギーを作っています。
運動で息が上がるのも、体が酸素を多く使っている表れです。
ただ、酸素は、吸う量が増えればそれで済むわけではありません。
健康な人の体では、酸素そのものが足りなくなることはほとんどなく、変わるのは、酸素の届き方と使われ方です。
今回は、そのうちの「届き方」を見ていきます。
運動中、体は血液の行き先を切り替えている

血液は、全身に同じ量ずつ流れているわけではありません。
運動中、体は筋肉へ多くの血液を回して、酸素を届けています。
酸素は、血液に乗って全身へ運ばれます。
体を動かすと、筋肉はたくさんの酸素を使います。
そこで体は、腎臓や胃腸などに流れていた血液の一部を、筋肉へ回します。 運動がきつくなるほど、回す量は大きくなります。
一方で、脳への流れは保たれます。 体は、どこに血液を送るかを、状況に合わせて切り替えているのです。
続けていると、筋肉の中の毛細血管が増える
体を動かす習慣がつくと、筋肉の中で、酸素を受け渡す毛細血管が増えます。
毛細血管は、血液が細胞に酸素を渡す、とても細い血管です。
運動を続けた人の筋肉を調べた研究では、毛細血管の数が増えていました。
60代の男女でも、運動習慣のなかった若い女性でも、同じような変化が見られています。
毛細血管の数は、年齢だけで決まるわけではありません。
だから、たくさん回さなくても酸素が間に合う

毛細血管が増えると、同じ運動でも、前ほど多く血液を回さなくても酸素が間に合うようになると考えられています。
受け渡しの場所が増えれば、同じ量の血液からでも、筋肉は酸素を受け取りやすくなります。
実際に、運動を続けた後は、同じ強さの運動をしても、脚に流れる血液が少なくて済むようになったという研究があります。
腎臓や胃腸から回す量も、前ほど多くならないことが報告されています。
もちろん、運動が楽になる理由はこれだけではありません。
心臓の働きなど、ほかにも変わっていることがあります。 酸素を届ける側の変化は、その理由の一つです。
前はきつかった運動が、今は楽にこなせる。
その裏では、体が血液の配り方を変え、酸素の届け先を整えてきた時間があります。
次に「前より楽になった」と感じたときは、体の中で起きている、こうした変化を思い出してみてください。
届いた酸素を、筋肉はどう使っているのか。
次回は、酸素を使う側の話です。