梅雨の雨音を聞きながら過ごす時間が増えるこの季節。
お気に入りのお茶を淹れ、ゆっくりと香りを楽しむひとときは、どこか心を落ち着かせてくれます。
そんな時間の中で、ふと疑問に思うことがあります。
同じ紅茶でも、なぜこんなに香りや味わいが違うのだろう。
前回のティーコラムでは、緑茶・紅茶・烏龍茶の違いが、「製法」によって生まれることをご紹介しました。
では、その製法よりも前にある、お茶づくりの原点は何なのでしょうか。
その答えのひとつが、「摘み取り」にあります。
メルチェコレクションでは、月に1回「ALTHAUSティーコラム」をお届けしています。
第17弾となる今回は、お茶づくりの最初の工程でありながら、品質を大きく左右する「二葉摘み」についてご紹介します。
若い葉だけを選ぶということ

お茶の世界には、「Two Leaves and a Bud」という言葉があります。
日本語では「二葉摘み」と呼ばれ、高品質なお茶づくりの基本として受け継がれている収穫方法です。
摘み取るのは、枝先にある最も若い芽と、そのすぐ下にある二枚の葉だけ。
それより下にある葉は摘まず、次の成長のために残されます。
実は、この若い芽と葉には、お茶の香りやうま味のもととなる成分が豊富に含まれています。
だからこそ、上質なお茶づくりでは、収穫の段階から細やかな選別が行われているのです。
① 品質は、畑で決まる

私たちはつい、お茶の味わいは製法によって決まると思いがちです。
もちろんそれも正解です。
しかし、どんなに丁寧に加工をしても、素材そのものが良くなければ、豊かな香りや味わいは生まれません。
どの葉を摘むのか。
どのタイミングで収穫するのか。
それはワインでいう葡萄選びにも似ています。
お茶づくりにおいて、品質は工場ではなく、畑から始まっているのです。
② ダージリンが特別な理由
世界的な銘茶として知られるダージリン。
ヒマラヤ山脈の南斜面、標高1,000〜2,200メートルに広がる茶園では、今もなお多くの茶葉が手摘みで収穫されています。
急斜面に広がる茶畑では、機械による収穫が難しく、熟練した摘み手によって一枚一枚丁寧に摘み取られます。
春に収穫される「ファーストフラッシュ」。
夏に収穫される「セカンドフラッシュ」。
季節によっても味わいは変化し、それぞれに異なる魅力があります。
私たちが楽しむ繊細な香りの背景には、こうした人の手による積み重ねがあるのです。
③ 一杯のお茶の向こう側

ダージリンのファーストフラッシュでは、1kgのお茶をつくるために、およそ12,000枚もの茶葉が必要になると言われています。
数字だけを見ると、少し驚いてしまうかもしれません。
けれど、その手間こそが、あの繊細で華やかな香りを生み出しています。
お茶は工業製品ではなく、自然と人の手が共につくり上げる農作物。
だからこそ、毎年同じ味をつくることが難しく、だからこそ面白いのです。
④ ALTHAUSが大切にしていること
ALTHAUSでは、世界中の茶園やサプライヤーとの信頼関係を大切にしています。
品質とは、最終的な味だけではありません。
どこで育ち、どのように収穫され、どんな想いで届けられているのか。
その背景までも含めて、一杯のお茶の価値になると考えています。
だからこそ、茶葉選びの段階から妥協せず、長年にわたり品質と向き合い続けています。
おいしさは、見えないところから生まれる

私たちが楽しむ一杯のお茶。
その香りや味わいは、製法だけでなく、畑での小さな選択の積み重ねによって生まれています。
どの葉を摘むのか。
どれだけ丁寧に向き合うのか。
その違いは、最後にカップの中で現れます。
次にお茶を淹れるときは、その一杯が生まれた茶畑の風景にも、少しだけ思いを巡らせてみてください。
いつものお茶が、少しだけ特別に感じられるかもしれません。